ライフアンドフォレスト
前橋木育
エキスパート養成講座
記念事業 VI
第16回
才の木トークカフェ盛岡
流通及び利用の促進
に関する法律」
に関する情報提供会
記念事業IV
第67回木材学会大会
公開シンポジウム
2017年度協業を合意
第1回フォレスト
カフェ講座
才の木トークカフェ
記念事業 V
木育効果実証研究事業
中間まとめ公開
前橋木育
エキスパート要請講座
前橋木育
エキスパート要請講座
あいち海上の森
フォーラム
シンポジウム
コラボ講座(C033)
前橋木育
エキスパート要請講座
コラボ講座(C040)
才の木トークカフェ
松山2017
記念事業 V
木育効果実証研究事業
結果公表
ライフアンドフォレスト
前橋木育
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に関する情報提供会
才の木トークカフェ
公開シンポジウム
公開シンポジウム
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記念事業I
第14回
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前橋木育
エキスパート養成講座
記念事業 V
木育効果実証研究事業
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国際フォーラム
コラボ講座(C021)
記念事業 II
第15回
才の木トークカフェ盛岡
記念事業 V- ii
三菱総合研究所との
協働事業
インスピレーション合宿
前橋木育
エキスパート養成講座
記念事業 V- iii
三菱総合研究所との
協働事業
成果発表会
前橋木育
エキスパート養成講座
ライフアンドフォレスト
国際スポーツイベント
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才の木前橋木育講座
才の木トークカフェ
才の木トークカフェ
前橋木育
エキスパート講座
コラボ講座(C109)
前橋木育
エキスパート講座
人と自然の共生
国際フォーラム
ウッドテック2015
コラボ講座(C115)
参画局事業
「木づかい」産業における男女共同参画推進による地域活性化
才の木前橋木育講座
公開シンポジウム
才の木トークカフェ
ライフアンドフォレスト
公開シンポジウム
才の木トークカフェ
才の木前橋木育講座
コラボ講座(C026)
人と自然の共生
国際フォーラム
才の木前橋木育講座
コラボ講座(C008)
公開シンポジウム
木材から広がる
アロマときのこの世界
才の木トークカフェ
人と自然の共生
国際フォーラム
才の木前橋木育講座
森を守れる住まい作りを
才の木トークカフェ
普及セミナー
人と自然の共生
国際フォーラム
才の木トークカフェ
日本林業再生の道
Part VI
カーボンフットプリント
表示の算定支援等事業
才の木トークカフェ
コラボ体験型講座
ライフアンドフォレスト
人と自然の共生
国際フォーラム
才の木トークカフェ
日本林業再生の道
Part V
公開シンポジウム
才の木トークカフェ
低炭素社会に向けての
新カーボン戦略
人と自然の共生
国際フォーラム
木材自給率 50%を
達成するための
課題と方策
公開シンポジウム
低炭素社会に向けての
新カーボン戦略
エコツアー
才の木トークカフェ
人と自然の共生
国際フォーラム
日本林業再生の道
Part IV
エコツアー
エコツアー
国際フォーラム
NPO法人才の木・第2回シンポジウム
■会場:東京大学 弥生講堂
■日時:2007年12月15日(土)13:00〜17:00
■後援:(社)日本木材学会、(社)日本森林学会、林野庁、東京都
東京都教育委員会、文京区教育委員会
(社)全国木材組合連合会、(財)日本木材総合情報センター
■参加者:82名
NPO法人才の木の第2回シンポジウムが、2007年12月5日に東京大学において開催されました。NPO法人才の木の理念・目標と本シンポジウムの趣旨説明を含む川井理事長の開会挨拶のあと、引き続いて林野庁岩本木材利用課長ならびに岡野東京大学名誉教授(木材・合板博物館館長)からご挨拶をいただきました。
講演会では井上雅文氏(東京大学准教授/NPO法人才の木理事)、浅田茂裕氏(埼玉大学准教授)、三浦史朗氏(大分県朝地中学校長)、花野耕一氏(東京都青梅総合高等学校長)が順次講演した後、パネル討論会「木材利用と教育」が実施されました。
(敬称略)
■地球環境の問題と木材利用
木質環境研究会が制作したDVD「きいたろうが訊くー木材を使って地球を救うー」((社)全国木材組合連合会から販売中)の基礎になる部分、つまり地球環境保全における木材利用の役割について説明し、その後DVD「きいたろう」の概要を解説します。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会の第4次評価報告書(2007年2月)は人為起源の温室効果ガスの増加によって温暖化が起こっているとほぼ断定し、対策がある場合と無い場合のシナリオについて、この100年間にそれぞれ1.1および6.4度の温度上昇が予測されています。また、海面上昇についてもそれぞれ18および59cmと予測されています。現状況のままでもこの影響は2030年まで続き、10年毎に0.2度昇温すると評価されています。
温暖化ガスの主なものは二酸化炭素であり、炭素の地球における循環を考慮する必要があります。樹木は6個の二酸化炭素(CO2)と6個の水(H2O)から、ブドウ糖(C6H12O6)と6個の酸素(O2)を光合成によって作りだします。このブドウ糖が木材の基本的な構成物になります。温暖化ガスとしての気体の炭素(炭酸ガス)が樹木によって固体の炭素(ブドウ糖)に変換されたわけです。したがって、樹木の総体である森林にも炭素の固定機能があります。地球の炭素循環を考えると、森林の機能は二酸化炭素の吸収固定と同時に、炭素を貯蔵する機能があります。このように炭素は樹木によって大気から森林や土壌に固定され、さらにこれらが燃えたり、生物によって分解されると大気に戻るという循環を繰り返します。
一方、現在地球上の森林は減少していますので、樹木を伐採して木材として使うことが本当に地球環境にとってよいのかと疑問が出てきます。DVD「きいたろう」はこれをテーマにしています。「樹木の伐採は環境破壊なのか?」という問題について問いかけ、木材を積極的に使うことが環境によいことを解説しています。
熱帯における森林破壊の要因を見ると、大半が農業目的であり、そのうちの半分は移動農業(いわゆる焼き畑)によって森林が減少しています。木材利用を目的にした樹木の伐採は6%に過ぎません。またその半分は燃料用途です。したがって、全体の伐採量のうちの用材目的は3%に過ぎず、森林破壊の大きな要因とは言えません。
森林の生長は現存量の増加で表わされます。若い林では生長が大きいものの、やがて極相状態になると生長がゼロになります。このとき森林全体としては光合成による炭素の吸収と呼吸や分解による炭素の放出が平衡して、収支がゼロになり、炭素の吸収をしなくなります。これ以上炭素を貯蔵することができない状態になるわけです。したがって、人工林であれば適度に伐採して、また新しい苗木を植えるほうが、結局二酸化炭素の吸収固定効果が大きくなります。地球温暖化の抑制効果が大きくなるわけです。
それでは、積極的に木材利用をすることがどれくらい地球温暖化の抑制に役立つかを具体的にみていきます。木材そのものは持続可能な資源です。苗木を植えて、使えるようになるまでの期間を50年とします。伐採して住宅を建てて33年使い、その後これを解体してパーティクルボードなどの木質材料に変え17年間使う。伐採地に予め苗木を植えておくと、この間の50年にまた新たな木材が育っていることになりますので、これを繰り返せば持続的に木材を利用することができます。使用する木材量が生長する樹木量を超えないように使えば、木材を恒久に使うことができるのです。これがカーボンニュートラルという考え方です。さらに、樹木の生長期間が早くなれば炭素の貯蔵効果が大きくなります。あるいは住宅の寿命が延び、リサイクル技術の発達によって木材の利用期間が延びれば、さらに温暖化抑制に貢献します。すなわち、木材を使えば使うほど、大気中の二酸化炭素の量が減少し、温暖化の抑制に効果を発揮します。
われわれの生活には資材が必要です。木材製品とアルミニウムや鉄鋼と比べると、木材は加工に要するエネルギー(CO2)放出が圧倒的に少ないのです。また、建設に要する消費エネルギーを住宅工法別に比べても、木造住宅は他の鉄筋コンクリートや鉄骨構造の住宅に比べて小さいのです。
木造住宅は都市の森林と考えることができます。すなわち、二酸化炭素の貯蔵効果が森林だけでなく、木造住宅や木材製品にもあり、木材の半分の重さの炭素を蓄えていることになります。現在、日本全体の森林の炭素貯蔵量は7億8千万トンにのぼりますが、木造住宅には1億3千万トン、約20%の森林に相当する炭素が貯蔵されていることになります。
このような内容をDVD「きいたろう」では、10分間のアニメとし、対象を小学校の5年生において制作しました。木造住宅や木製品の炭素貯蔵の効果を重点項目としています。
教育的な観点から、「本当に木を使ってもいいのだろうか?」との疑問に対して、周囲のプロパガンダに左右されないで子供が自ら考え、答えを導ける、すなわち、自らの判断能力を養うことを目標にしています。答えを与えるのではなく、考える力、適応能力を養うことを目的に制作しました。環境問題の教育には体験型の学習が必要で、個々の事象を教えるのではなく、時々刻々変わっていく問題や対象を正確にキャッチして、それらに適応していく能力を養っていくことが大切です。
■きいたろう―木育を語る
わたしの大学時代には、「木材利用は環境に悪影響を及ぼす」といった風潮が強かったと思います。衝撃的な映像イメージと単純なメッセージ、オピニオンリーダーによるミスリードがこの風潮を定着させたのですが、これを解消していくことがこれからの大きな課題です。
教育というのはその時代の最も主要な意見に影響を受けやすいのです。教育者は最新の情報に触れる機会が意外に少ない。たとえば、森林破壊、環境教育、実践をキーワードに検索し、NPO法人等の活動内容を調べますと、現場で実践されている方に最新の情報が十分伝わっていないことがよくわかります。
この理由のひとつは、最新の研究成果が教育内容として変換されていないこと、またこれを適切な形で提供する仕組みが存在しないことにあります。教材化のプロセスでは象徴化と強調が重視される結果、内容が連続性を持たないという問題もあります。
今までの教育ではオピニオンリーダー、あるいは声の大きい人の哲学を反映して教育が変化していくのに対し、最近の科学教育では調査研究に基づく合意によって教育が変わっていくべきものと考えるようになっています。
教育の目標が絶対的な真理や原理を理解することでは必ずしもなく、たとえば時々刻々変化していく環境問題では、これを社会的に捉えるべきであり、社会的合意の形成や合理性への共通理解が教育目標になるべきと考えるようになってきました。そのために俯瞰的な理解力、全体像を把握する力を身につけることが大事になりますが、これは共通理解への重要性が認識されたことによります。
木材利用に関する教育は1990年の環境教育学会の創設により、ようやく基盤が形成されました。環境教育におけるコンテンツとして木材や森林が正しく扱われるようになってきました。
これまでは木材をどう使うかという(技術)教育しかなく、木材を使うための(理念)教育は全く検討されてこなかったと言えます。理念教育が進められなかった原因は伝統的な価値観や個人の哲学が大きく支配し、その弊害として木材や森林の本当の意義や役割について市民が教育を受け、また直接これに出会う機会が保証されなかったためです。確かなデータに基づく教育内容が示されなかったことも理由の一つです。教育者、研究者、ならびに技術者の協働、あるいは協働のための基盤が欠如していたと思われます。
今回制作したDVD「きいたろう」は確かなデータに裏付けられた教育内容の一つとして提案した教材です。これが木材利用についての正しい認識を生めばより良いことであり、またそのように利用されることを期待しています。
「きいたろう」は、元は私の子供のために木のことを教えようと思って絵本として作ったものです。子供に理解しやすいように、たとえば、トイレットペーパーを一人一日に何メートル使うか、答えは9m、幼稚園児のような小さな子供にも木のことに関心をもってもらいたい、確かなデータに基づいた物語を作りたいと思い、具体的でわかりやすい形で提示しています。
DVD「きいたろう」は小学校5年生から中学校1年生までを対象としています。森林の育成や木材利用によって地球環境の改善の可能性を感じて欲しいと思っています。
子供は新しい情報や正しい情報を受けても容易に自分の信念を変えようとしないという事実を明らかにした研究例があります。このことは、木材をさわる程度の一過性の教育やイベントでは教育効果に限界があることを示唆しています。誤解を解消するのではなく、問題の捉え方を変える、見方を変えることに重点を置くことが大事になります。
また本教材では現職の先生に木材教育に参加いただけるようにDVDにマニュアルを添付しています。この部分に力点におけばこのような学習が展開でき、またここにいけばこのような情報があるなど参考になる確かな情報源を選定して付けてあります。
このような教育を通じてプロパガンダに惑わされない学習を展開して欲しい。限られた時間のなかでは、DVDで伝えられるものには限界があるので、DVDの中では表現できない制作者の意図や情報をマニュアルとして補いました。
使い方ですが、小学校では社会科、理科、総合学習、中学校では技術家庭科に物づくりがあり、その前に本DVDを活用することができます。また本DVDの内容は一般の方でも木の売りになるポイントをわかりやすく表現していますので、市民やハウスメーカー、建設業者向きの講習会にも使えます。
「木育」は平成18年9月に閣議決定された「森林・林業基本計画」において提唱され、市民や児童の木材に対する親しみや木の文化への理解を深めるため、材料としての木材の良さやその利用の意義を学ぶ教育活動として推進することが決められています。現在、木育推進体制整備推進委員会が設置され、木育に関わる様々な検討が行われています。(財)木材総合情報センターのホームページにアクセスすると、関連する情報が得られます。助成事業の募集も掲載されています。
木育とは、始めに木に触れて、そして作り、行動し、その過程で木材や森林の機能について正しい知識を得ることを目指した教育です。現在、委員会でプログラム開発の進め方について検討されています。食育はすでに定着した言葉となっていますが、木育を食育以上に定着させるには、次の視点を検討すべきです。すなわち、木材が生活社会の基盤形成に役立っている、よりよい社会の形成に木材が必要であり、地域文化・木の文化を継承・復興に木材利用が重要です。もちろん最終的には木を植えて、森を育て、木材を活用して持続的な生活基盤を確立していくことが大事になります。このような視点から木育を捉えると、教育学・建築学・木材学・医学・史学など様々な分野の関係者が木育に関わることができます。
木材を使うことを通じて、そして木を学習対象とすることを通じて、木が子供たちを育てる、そして子供たちが大きくなって木(樹木)を育て、森を育てる。それをさらに次世代へ継続させる循環、正のスパイラルを構成することにより社会が向上していくことが大事です。
木育を成功させるには、木材利用を社会全体で推進し、木育環境を整えることも重要です。米国では公園で木の遊具に子供たちが一人で遊んでいます。日本ではいつも母親が横について手放しの状況にはありません。これは日本の公園の地面が固いからです。米国の公園では40〜50cmの厚さの木材チップが敷かれ、怪我をしない配慮と整備を法的に整えています。このように日常生活の中で、政府・自治体と協働で木育を実践することが課題です。
正確で最新の情報を教育関係者にどのように伝えていくのか、システム作りが行われ、さらに、ネットワーク作りを活かし、協働で展開していく・・・それぞれの立場で何ができるのかを考えていくことが重要です。
■木材利用と学校教育の実践
大分県豊後大野市朝地町は干ししいたけの生産で全国に知られています。朝地中学校は昭和46年、朝地町の統合中学校として開校されました。
平成16年に新しい木造校舎を建設して現在の地に移転し、小学校・中学校が隣接し、小中の共用施設を持つ朝地町立朝地中学校となりました。平成17年の町村合併により豊後大野市立朝地中学校となっています。
各学年1クラス、総数が71名の小規模校です。子供の自主性、責任感を育てるためにノーチャイムを実施していますが、とくに支障はありません。
学校の教育目標は「豊かな心と主体的に活動する力をもった生徒の育成を目指して」であり、この目標達成のための教育課程の作成に次の点を強調しています。
1.地域との関係
2.自分で考える態度の育成
3.自分らしく、それでいて他の人と協調できるような工夫
4.豊かな感性の育成
なかでも、とくに1と4に力を入れています。
老朽化したRCコンクリート校舎の建て替えにあたり、可能な限り木造化、木質化を図り、安全性と耐久性の観点から一階平屋建て、明るさ、ぬくもり、落ち着き、快適さを備えた心和む教育環境を整えたい、色彩の調和がとれ、環境に優しい、長持ちのする校舎を作ることになりました。
地域作りのシンボルとして、新たな集落作りの基盤としての学校を作るために町有林の木材65%、県産材30%、県外の国産材を5%を使って建設されました。伐採跡地に植樹された樹木も順調に育っています。
朝地町は過疎、少子化が進んでいますので、小中連携の共有施設を作りました。子供が学校空間で9年間を過ごすことになりますので、飽きの来ないメリハリのある空間を作るために低学年、中学年、高学年、中学校を分棟配置とし、レベル差を設けて教室からの視線に変化を付けています。
生涯学習の面から図書館と大小体育館を共用施設の中心に配置し、その他、グラウンド、プール、パソコン教室、器楽室、声楽室、調理室があります。
図書館は杉丸太を鼓のように上下の鉄骨「タガ」で押さえ固定する木造チューブ構造で、全長12mの丸太40本をタガ状に組み合わせています。体育館内部も床・壁等に木材をふんだんに使っています。教室は洋小屋トラスによるシンプルな架構計画とし、集成材、金物類は最小限にとどめ、継ぎ手、仕口によって木の特性を生かしています。天井・床・壁にすべて木材を使っています。廊下、テラス、トイレ、体育館、通路、廊下のベンチ、美術室の棚、靴箱、多目的収納、サッシなどすべて木製です。机 椅子も県産材のヒノキを用い、小学校6年間と中学校3年間にわたり同じ机・椅子の高さを調節して使用します。
朝地中学では総合学習・選択教科を通して、数学、音楽・美術・英語などの授業に学習サポーターとして外部の人材を活用しています。朝学習・朝読書活動、そのほかキャリアスタートウィークでは町内職場を通して子供たちに5日間の保育園、畜産、園芸等の体験学習を実施しています。また、バス停、トイレの清掃など町内ボランティア活動を実施し、地域との関係を保つ学習をおこなっています。
木造校舎で過ごした卒業生の感想を「朝中川柳」から紹介します。
・新校舎、朝の坂道きついけど、校舎は新品、トイレは最高
・山の上挨拶飛び交う新校舎
・新校舎ぬくもり感じる木の香り
・木が一杯、森みたいだな新校舎
木の校舎に対していいものばかりではありません。いくつか紹介します。
・新校舎ほのかに香る木の臭い
・心配だ いつまで持つか新校舎
・においにも雨漏りにも慣れました新校舎
最後に、「木造校舎」と題する卒業生の作文を紹介します。
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私たちが入学した年は学校に木造校舎ができた年でした。私は木造校舎での3年間をとても快適に、楽しく学校生活を過ごすことができました。校舎が朝地の木でできているので地元の暖かみを感じました。木の香りがよく、夏は涼しい環境を作ってくれました。冬は暖かく、鉄筋校舎に比べるとかなり温打差があると思います。一番好きだった場所はトイレです。コウモリが入ってくることもしばしばありましたが、木のベンチはくぼみがあり、座るときにフィットする感じで、みんなと話したり、くつろいだりした思い出の場所です。体育館はおもしろい造りで、隅には木のベンチがはめ込まれていて椅子の出し入れ不要で、楽でした。高校では鉄筋コンクリートの校舎で生活していますが、木造の暖かみを改めて懐かしく思い出します。
■総合高校における森林環境教育
東京都青梅市は青梅マラソンでよく知られていますが、周りを豊かな自然に囲まれた環境にあり、ここに明治43年に都立農林学校が設立され、都内で唯一の林業科がありました。平成17年度に全日制課程が廃止され、97年続いた農林高校が統合され、東京都立青梅総合高等学校になりました。
本日は統合の過程で林業科が取り組んできた内容をお話しします。農林高校には都内に81haの演習林を保有しております。奥多摩の水源林として都の名勝にも指定されている宇奈沢演習林をはじめ、友田演習林、御岳山には三岳演習林、花水演習林など、全部で6カ所にまたがっています。
学校から徒歩で20分のところには黒沢第1、第2演習林があります。
黒沢第1演習林はJR青梅駅からも約20分に位置し、アクセスに恵まれていますし、第2演習林も林道が十分整備されています。
農林高校の廃止に伴い、今後演習林をどのように活用するかが課題となりました。結論として、黒沢第1演習林を開放型の自然体験林として活用することになりました。つまり、環境教育の場(フィールド)として演習林を活用すると共に、レクレーションの場に開放して森林を利用する。林業の大切さ、森のすばらしさを多くの市民に知っていただくと共に、これまで林業科の生徒たちが学んできた技術・知識を還元したいということでスタートしました。
最初の取り組みは、森林体験講座の実施でした。青梅第1小学校の小学生に高校生が先生となって間伐をしたり、下草刈りの体験をしてもらう。また、市民の皆さんに気軽に利用してもらえるように休憩ができる広場や階段、ベンチを設けるなど、2年がかりで農林高校の生徒が手作りで演習林の整備に取り組みました。
昨年、完成式典を挙行し、地域の方にも出席いただき、みつばツツジを記念植樹いたしました。青梅市から感謝状をいただき、農林高校の生徒の活動が地元で大変話題になって、テレビ・新聞などマスコミにも報道されることになりました。市民にもっと使っていただくために、生徒がリーフレットを作り、商工会議所等に置いて広くPRをしています。
利用法としては森林の観察・体験、樹木の観察などの森林体験講座、憩いの場として公園を散策されている市民の休憩場として利用していただく。生徒の手作りの広場ですのでまだまだ未完成ですが、樹木プレートや案内版、観察のための様々な資料をもっと整備していきたく思っています。
この取り組みは東京都教育委員会の児童生徒表彰として顕彰されました。取り組んだ生徒の感想ですが、森林のすばらしさを市民の皆さんに体験してほしい、この学校で憶えた知識や技術で自信をもって将来生きていきたいというものでした。森林で学んだことに誇りに思っています。今後の課題として、さらに使いやすい、多面的利用が可能な広場を目指していきたいと思います。
農林高校林業科の全日制課程は廃止になりましたが、青梅総合高校として平成18年4月に新しい歴史の幕を開けました。
全日制課程が1学年6学級、定時制課程が3学級の総合学科という新しいタイプの学科になりました。総合学科の1年生のすべての生徒が勉強する「産業社会と人間」という授業があります。この授業では森林体験を取り入れています。間伐をしたり、ウオークラリーをしたり、農林高校の生徒が作った広場で森林の勉強をしています。
総合学科には女子が非常に多く、6割に達しています。女生徒が森林の授業にどのように関わるかということが問題でもありました。しかし、女生徒も木を伐ったり、積極的に楽しく体験してくれています。今年度の新たな取り組みとして、2年生になると刈り払い機講習を取り入れました。希望制でしたが25人の生徒の参加があり、女生徒も多く参加しています。
都立高校は今年度より全員奉仕活動を授業としておこなうことになっています。1年生は夏に黒沢演習林で下草刈りをしました。林業科の歴史がありましたので、全員ヘルメットをかぶり、装備を調えて下草刈りに臨みましたが、作業を終えた生徒の表情はいい汗をかいて達成感に満ちた、すっきりしたいい顔をしていました。
定時制課程の生徒は夏休みに花水演習林に出かけ、ヒノキ林の伐採を行いました。ヒノキは伐採した瞬間にヒノキのよい香りがします。これを輪切りにして生徒がそれぞれ持ち帰り、ヒノキ風呂を楽しんだようです。
また、農林高校でしていた小学生の間伐体験を総合高校でも実施することになりました。12月12日に環境資源系列の生徒の代表5名が120名の小学生に間伐を指導しました。森林組合の方も応援に駆け付けてくれています。3m余りのスギを鋸で間伐し、大勢で協力して倒して枝を払います。
今後の展開について、広場の利用者をもっと拡大し、森林の活用のしかたの工夫が課題となっています。また、伐った間伐材をそのまま放置しているので、これを活用することも重要です。
森林環境教室を都内の学校に呼びかけ実施したく思います。
間伐材を加工して、森の資源を活かして置物を作ったり、また学校の木工室を利用してさまざまな加工も可能です。教室には多摩産材の木材を腰板に使っています。日本文化実習室は板の間で、木の香りがするよい部屋です。PRコーナーには木をふんだんに取り入れた教室が有り、生徒に一番人気のある部屋です。
2年間の総合高校の生徒の森林体験の感想をいくつか紹介します。
・森は手入れをすると生きてくる。手入れが大事。
・森の中にいると、自分は一つの生き物だと感じる。
・木を切ることは環境を破壊するだけだと思っていたけれど、木の生長には必要だとわかった。
・森林を歩くことで、自然のすばらしさや力強さを感じた。
・緑には心を落ち着かせる効果があるというけれど、森林体験で本当にそうだと感じた。身体の中の空気が全部きれいになった気分です。森はすごいと思いました。
青梅総合高校では森林環境教育を試行錯誤しながら実施しています。森に親しむこと、下草刈りや間伐体験を通じて森を育て、自然を守る意識を高めています。
今後は幼稚園から小学校、中学校、高校まで演習林を介した様々な連携を実施していきたい。また環境系の大学や地域との連携も図っていきたく思います。
その他、木材、とくに間伐材をどのように使っていくかも課題です。年齢や性別に応じて提供できる環境教育のプログラムの開発も大事です。C.W.ニコルさんは「森づくりとは未来を信じることです」と言っています。今ある森をしっかり守り、次代に繋いでいきたいと思います。
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引き続き行われたパネル討論会「木材利用と教育」はこちら。